プロジェクトマネージャ(PM)試験は、IPAが運営するITの国家資格です。ITシステム開発などのプロジェクトの管理者として、予算・納期・品質などのプロジェクト目標を達成するために人やモノを管理する役割を担う人のための資格です。
IPAの高度区分の受験を考えている方、IPAの高度区分の資格に関心がある方は参考にしてみてください。ということで、この記事では、プロジェクトマネージャ(PM)試験の試験概要や合格率についてまとめます。
試験概要
それでは、試験概要の整理から見ていきましょう。
名称 | プロジェクトマネージャ試験試験 |
管轄 | 経済産業省のIPA(情報処理推進機構) |
試験内容 | プロジェクトマネージャーとして予算・スケジュール・品質管理といった観点からプロジェクトを成功に導くための知識 |
試験時間・問題数 | 下表に別記 |
受験料 | 7500円(税込み) |
試験方式 | 全国各地の試験会場で受験 |
プロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験のレベル区分で最上位のレベル4に分類され、難易度は情報技術系の資格の中でも最高峰です。
試験時間と問題数
プロジェクトマネージャ試験は下記の通り4部構成となっており、合格となるために4部全ての合格点を上回る点数を取る必要があります。
そして、合格点はどの試験も100点中60点です。午前Ⅰから受験する中でいずれかの試験で合格点以下となった場合、それより後の試験は採点してもらえません。
午前I | 午前II | 午後I | 午後II | |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) | 10:50~11:30 (40分) | 12:30~14:00 (90分) | 14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) | 多肢選択式 (四肢択一) | 記述式 | 論述式 |
出題数 | 30問 | 25問 | 3問 | 2問 |
解答数 | 30問 | 25問 | 2問 | 1問 |
仮に午後Ⅰで59点以下の点数となったとしても採点は試験後なので、午後Ⅱをしっかり埋めることができても午後Ⅱが採点してもらえないことは把握できません。
午前Ⅰ試験の免除
次のいずれかに該当する場合は、申請を行った上で午前Ⅰ試験を免除となります。午前Ⅱの開始に合わせて受験会場に行き、午前Ⅱから受験することができます。体力や集中力を考えると午前Ⅰから受験するよりも優位かもしれませんね。
①応用情報技術者試験(AP)に合格
②情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格
③情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとる
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/koudo_menjo.html
試験の合格率と難易度
近年の合格率
開催年 | 受験者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 前年合格率比難易度傾向 |
H29春期 | 18,291人 | 11,596人 | 1,521人 | 13.1% | ー |
H30春期 | 18,212人 | 11,338人 | 1,496人 | 13.2% | ほぼ変わらず |
H31春期 | 17,588人 | 10,909人 | 1,541人 | 14.1% | 易化 |
R2秋期 | 9,672人 | 6,276人 | 948人 | 15.1% | 易化 |
R3秋期 | 10,184人 | 6,680人 | 959人 | 14.4% | 難化 |
令和二年からは春ではなく秋に開催されるようになりました。
難易度は13.1%~15.1%ほどで、合格率の平均は14.0%です。
PM試験と同じく論文試験があるITストラテジスト試験の合格率は近年5年間(開催された年の5年間)では、14.3%~15.4%ほどで、合格率の平均は14.9%です。
誤差と言えるほどのレベルかもしれないですが、ややPM試験の方が合格率が低いですね。ただ、受験者のレベルが同じわけではないはずなので、一概にPM試験の方が難しいとは言い切れないです。
また、受験者数がH31と比べガクッと減っています。これはITストラテジスト試験のような他の高度資格でも起きているので、原因は幾つか考えられます。
私としては、オラクルマスターやAWSのような民間企業が運営している資格試験はオンラインで受験可能なのに対し、IPAはほとんどの試験がコロナ前の方式のままなのも原因の1つでないかと考えています。
基本情報技術者試験がCBT方式へ移行したように、論文試験があるといってもCBT方式であれば受験しやすいですよね。
午後Ⅱ試験
プロジェクトマネージャ試験といえば午後Ⅱ試験で待ち構える小論文ですよね…
限られた時間の中でおよそ2000字を書ききることが求められるうえ、実経験に基づいたような整合性のある内容で設問に解答する必要があるため、PM試験をIPAの試験の中でもかなり難易度が高い試験にしている要素と言えます。
どう難しいのかをまとめると以下の通りです。
- 二時間という限られた時間の中で2000字程を構成を考えながら書ききる
- 問題文や設問の中に散りばめれた細かな設定を十分に盛り込めないと致命的な減点になる可能性も
- 1つ1つの設問に答えつつ矛盾が生まれないような注意が必要
- プロジェクト自体の整合性も保つ必要がある(過度に盛った総工数や生産性は怪しまれる可能性がある)
前提として、回答者の経験による論文展開が期待されていますが、PM未経験だからといって受験できなくなることはありません。あたかも自身の経験のように矛盾のないように注意しつつ、臨場感が出るよに定量値を盛り込んで記述すれば大丈夫なようです。
まとめ
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
プロジェクトマネージャ試験は簡単に合格できるようなレベルではないことが分かりました。それ故にベテランのプロマネの方でも試験は不合格となることも少なくないです。受験の際は十分な対策が必要ですが、十分に勉強しがいのある資格と内容です。しっかりと試験対策して合格を目指しましょう。