プロジェクトマネージャ試験(PM試験)はIPAの高度区分に分類される試験です。午後Ⅱ試験は論文試験となっており、高度区分の中でも対策に時間がかかる試験で、論文試験ということもありTACなどが論文添削も含めた通信講座を開講しているほどです。
私は令和4年度(2022年度)秋季試験を受験し一発合格できました。
ということで、この記事ではプロジェクトマネージャ試験の資格取得までにかかった勉強時間や試験対策の学習方法をご紹介します。
ちなみに私自身プロジェクトマネージメントやプロジェクトリード(PL)の経験はありませんでしたが、PMやPL未経験でも合格可能です。PM経験が無い方でも、将来PMを務めようと思っている方や転職してPMを目指す方にとっては、客観的に知識を証明できる強力な資格なので、挑戦してみてください。
この記事は以下のような人に向けて書いています。
- PM試験の受験を控えている方
- PM試験の勉強方法で悩んでいる方
- これからPM試験を受験しようかと考えている方
この記事を読むと以下のことが分かります!
- PM試験合格のための学習方法
- 試験合格までにかかった勉強時間
- 合格発表の時期
試験概要
別記事でもう少し詳細を説明していますが、試験概要はこちらの内容です。
名称 | プロジェクトマネージャ試験試験 |
管轄 | 経済産業省のIPA(情報処理推進機構) |
試験 内容 | プロジェクトマネージャーとして予算・スケジュール・品質管理といった 観点からプロジェクトを成功に導くための知識 |
受験料 | 7500円(税込み) |
試験 方式 | 全国各地の試験会場で受験 |
勉強開始時のスペック(2022年7月時点)
【保有資格(受験時)】
- 基本情報技術者試験
- AWSソリューションアーキテクトアソシエイト
- G検定
- Python 3 エンジニア認定データ分析試験
- ORACLE MASTER Bronze DBA 2019
- ORACLE MASTER Silver SQL 2019
【本資格に関する知識】
- プロジェクトマネージメント経験は全くなし
学習期間と勉強時間
学習期間は約3ヵ月です。
勉強時間はトータルで160時間ほどかかりました。
こちらの記事で試験区分別に振り返っています。ご参考になれば幸いです。
合格発表は約2ヵ月後
IPAの公式サイトから合格者の受験番号と得点が分かります。
*受験票の下部の領収書の右ページに受験番号と得点開示に必要なパスワードが書かれているので、試験後も捨てずに保管しておきましょう!
午後Ⅰは手ごたえほど…でしたが、なんとか合格できました。
試験対策
ここからは試験対策として学習教材とそれを使った学習方法をご紹介します。
午前Ⅰと午前Ⅱの試験対策
IPAの試験といえば、過去問道場ですね。お金をかけずに解説付きの過去問演習ができるため、午前試験についてはこちらで学習しました。
学習方法
午前Ⅱの学習は試験1カ月前ごろからで大丈夫だというアドバイスを会社内の先輩からいただいていたので、9月中旬ごろから取り組みました。
実際、午前Ⅱ対策→午前Ⅰ対策の順に、午前Ⅱは直近10年分を2周し、午前Ⅰは直近10回分を2周して臨みました。午前Ⅱはもっと少ない量でもよかったかもしれないです。逆に午前Ⅰはもう少し前の年度も学習しておくと余裕をもって解答できた気がします。
午後Ⅰと午後Ⅱの試験対策
基本情報技術者試験と同様に午後試験対策も過去問道場で!といきたかったのですが、過去問道場では現在はまだ午後試験の解説が無いようでしたので、午後試験対策のためにこちらの教材を購入しました。
さすがにPMの経験0知識0の状態から午前Ⅱと午後Ⅰを解いただけでは午後Ⅱで小論文を書けるレベルまで到達できる自信が無かったため、午後Ⅱの対策もできそうなこの本を購入しました。
PMの経験がある方であれば、午後試験の過去問を解いたり、午後Ⅱの問題文を読んでみて小論文も書けそうであればお金をかけない方法でもいいかもしれません。
PM試験の学習に使ったのがこの『みよちゃん本』と呼ばれる参考書です。みよちゃん本以外は午前試験の対策として過去問道場を使いましたが、午後試験対策はみよちゃん本のみで行いました。他のブロガーさんの記事でも会社の先輩からも薦められた教材だったので購入しました。
『次に、みよちゃん本を購入して使った感想をまとめます。
- H14年度からR4年度(直近)までの午後問題の全ての解答解説がある
- 問題文を効率的に読み解くために必要なマーキングのスキルを学べる
- 午後Ⅰ→午後Ⅱへと使いまわせる汎用的な知識を明示している
- 書籍内のアクセスキーを用いて問題や解説をダウンロードできる
- 知識エリアの分野ごとに午後Ⅰや午後Ⅱの試験対策ができる
H14年度からR4年度(直近)までの午後問題の全ての解答解説がある
購入して読み進めるうちにまず良いなと思ったのが、H14年度~R4年度までの試験の午前午後Ⅰと午後Ⅱ試験の各問題の丁寧な解説があることです。これ一冊で午後試験もある程度得点できるレベルに到達できます。
ただし、午後Ⅱ試験については、本試験の経験や対策した時間や量で得点が変わると思います。PM経験豊富な私の先輩社員が不合格となってしまっていたので、PM経験自体は大きなアドバンテージですが、試験対策もしっかり行う必要があります。
問題文を効率的に読み解くために必要なマーキングのスキルを学べる
また、午後試験を解くうえで筆者の方がどんなマーキングを問題文中したのか、つまり、試験を解く中で注目しないといけないポイントを含めたマークの書き方を解説してくれています。IPAの高度区分の午後問題は問題文中から回答を抜粋できることが多々あります。しかし、午後Ⅰの問題文が長いので、各設問で問われていることに対応する部分を問題文中から抽出して効率的に回答するにはマーキング力が重要だと思います。
午後Ⅰ→午後Ⅱへと使いまわせる汎用的な知識を明示している
更に、午後Ⅱの小論文を書ききるためには、ある程度の知識を蓄えておく必要があるのですが、午後Ⅰの解説の中で午後Ⅱでも使いまわせるような汎用性のある知識についてはしっかりと目立つように示してくれています。
書籍内のアクセスキーを用いて問題や解説をダウンロードできる
解答を得る方法ですが、一冊の中に全ての過去問の問題と解説を注ぎ込むことは物理的に難しいので、書籍内の各ページに記載されいているアクセスキーを用いてH14年度~R3年度までの過去問の問題や解説をダウンロードできるようになっています。
タブレット端末をお持ちの方は端末にダウンロードしておいて、PDF編集アプリで回答や丸付けを手書きで行うと本番試験でも手が疲れにくくなりますね。
実際に受けて感じたことの1つに、手書きに不慣れで疲れやすくなったり、漢字が書けなくなっていたということも感じました。『〇〇文字以内で回答せよ』と文字数制限がある問題の回答時に、「文字数を減らしたいのに漢字が出てこない…」なんてことが少しでもなくせるように手書きで書いてみることをお勧めします。
知識エリアの分野ごとに午後Ⅰや午後Ⅱの試験対策ができる
こちらは似た機能が過去問道場にもありますが、PMBOKに記載されている知識エリアの分野ごと(「プロジェクト総合マネジメント」、「プロジェクトスコープマネジメント」といった粒度です。)に午後試験の過去問を解ける構成となっているので、PMBOKの知識エリアを1つ1つ集約的に学ぶことができます。
午後試験の学習方法詳細
みよちゃん本を使いながら、午後Ⅰ問題はH20~R3を二周し、午後Ⅱ問題はみよちゃん本で「最重要」または「要読み込み」となっているものを中心に直近の問題から片っ端に解いてました。
午後Ⅰ
私は午後Ⅱもさることながら、午後Ⅰ問題でちゃんと6割とれるか心配だったので、数をこなすことで試験に慣れるのを目的として二周しました。
小論文が鬼門となっており、午後Ⅱ試験が一番注目されるPM試験ですが、午後Ⅰ問題に苦手意識を持たれている方は少なくないはずです。一周解いてみて、思うような点数が取れなかった場合でも、二周目でコツを掴めることがあります。
実際、私はこちらの記事でご紹介しているような得点でしたが、二周目を解きながら徐々にコツを掴み、本番試験でも7割近くの点数を取ることができました。
午後Ⅰ試験に苦手意識を持たれている方は、一周目を解いて自己採点があまり芳しくない点数だったとしても時間をかけて午後Ⅰ試験対策を続けましょう。
みよちゃん本を持っている方、「抜粋箇所は合ってるのに表現が模範解答とやや異なっていて得点が思うように伸びない」なんてことありません?
設問で問われそうな特徴や抜粋すべき表現を適切に選び出す感覚は問題を沢山解く中で徐々に養われていきます。しつこくて申し訳ないですが、時間をかけて対策していきましょう。
個人的には、自己採点した時の得点と本番試験の採点結果でどれくらい違いがあるのかが気になっていましたが、みよちゃん本の解説内の配点とおそらく同じような配点になっていると思われます。ただ、私は過去問では部分点をあまり加えずに自己採点していたんですが、その時の点数より2割ほど点数が伸びたので、もしかしたら部分点はちゃんとくれているかもしれないです。
*試験本番で何かの力が働き偶然正解が多かっただけの可能性もあります。
午後Ⅰ対策は書きたいことが多すぎたので別記事で試験対策方法についてご紹介します。
午後Ⅱ
高度区分の試験は初めてで、当然IPAの小論文の経験もなかったので次のような流れで各章の「最重要」と「要読み込み」の幾つかを対象に対策していました。問題1つ1つをしっかり解いていくと到底時間が足りなくなるので、みよちゃん本に掲載されている全問を解くということはやりませんでした。
- まずは問題を読みながら設問で問われている要素や重要そうなポイントをチェック
- 設問で触れられていなくても盛り込んだ方がよさそうな要素を書きだす
- みよちゃん本の午後Ⅱの”書くべき内容の確認”を読んで観点の妥当性を確認する
- 解答例文を写経する
- 写経しながらオリジナル(思いついたら)のアイデアをメモする
勉強を始めたばかりの時期はとにかく『慣れること』や『午後Ⅱの要領を掴む』ことに集中していました。
特にPM経験が無い方は、「書けばいいことは読み取れたけど、具体的な内容は何が正解か分からない😵💫」といった不安があると思います。逆に、「”〇〇の対策内容”ってなんか難しいこと聞かれてるけど、答え見たらこんなんでよかったのね😊」となることもあるはずです。そういった疑問が少しでも具体的になってきたら、徐々に午後Ⅱ試験に馴染めていることになるんじゃないかと思います。
小論文といってもストーリー自体は設問や問題文の中で指定されていますし、ステークホルダーや納期といった細かな状況設定は自分が書きやすいと思う設定を好きに使っていいからです。あとは、”○○の対策”、”△△の分析方法”、”××の問題”といった具体的な内容を模範例文からインプットしておいて、それを必要に応じてオリジナル小論文に当てはめるだけなので。
ただし、午後Ⅱに慣れて例文を参考にしなくても書けるようになるまでの時間は人それぞれだと思います。ですので、多めに時間を確保しておいて2ヵ月半前~3カ月くらい前から午後Ⅱだけでも解き始めると試験本番までにはある程度戦える準備が整えられるはずです。
勉強時間は3カ月ほどと上述しましたが、私は10月第2週の試験本番に向けて7月中旬ごろから午後Ⅱの勉強をゆっくり始めていました。問題文を読んで写経するだけでも十分な対策になると思います。
終わりに
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
プロジェクトマネージャ試験合格に向けた勉強方法についてご紹介しました。PM未経験の状態から実際にやってみて分かったのは、この試験の受験を通して様々な潜在的なリスクを察知し、事前または事後に実施できるリスク対応の選択肢を広げられたことです。
PM未経験な私が今後実際にPMをやってみて、「あの時勉強したのは机上の空論だったのか…」となる可能性があるかもしれないですが、マネジメントの知識0の状態から対応するよりも、どんな対策がリスクに対して実施できるのかの選択肢を僅かでも持つことはできたと思っています。
今回の資格取得を通して、プロジェクトマネジメントを体系的に学習できることは間違いないので、実際にPMをやるかどうかは別にして、一回はプロジェクトマネジメントを学んでみたい方にとっても適切な資格です。
最後に、この記事がプロジェクトマネージャ試験の受験を考えている方・控えている方の参考になれば幸いです。